リング(読み)りんぐ(英語表記)Pehr Henrik Ling

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リング」の意味・わかりやすい解説

リング
Ling, Pehr Henrik

[生]1776.11.15. クルーヌーベリ
[没]1839.5.3. ストックホルム
スウェーデンの近代体育の先駆者。 1799年デンマークへ渡り,コペンハーゲンの大学で神学言語学を学びながら F.ナハテガルから体操の指導を受けた。 1804年帰国後,J.グーツムーツの器具体操に人体解剖学生理学根底におく徒手体操を加えたスウェーデン体操を創始。これはリングの体操の体系核心を形づくるものであり,肋木,登攀はしご,平均台などを用いたり,軽器具と呼ばれる棒,棍棒,唖鈴なども用いたものである。またその子 H.リングも,スウェーデン体操を教育体操として発展させた。主著『体操便覧』 Reglemente für Gymnastik (1836) ,『体操の一般的原理』 Allgemeine Begrundung der Gymnastik (1840) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リング」の意味・わかりやすい解説

リング
りんぐ
Pehr Henrik Ling
(1776―1839)

スウェーデン体操の創始者。大学では神学と言語学を学んだが、のちにデンマークにナハティガルを訪れ体操の指導を受けた。彼は解剖学、生理学を学び、体操に科学的根拠を与えた。体操を分類して、〔1〕教育体操、〔2〕兵式体操、〔3〕医療体操、〔4〕美的体操とした。しかし実際には教育、兵式、医療の三部門だけが指導され、教材の数もきわめて少なく、その運動様式もはなはだ簡単であった。スウェーデン体操としてもっとも特色を発揮したのは教育体操と医療体操で、本国スウェーデンだけでなく、ドイツ体操とともに近代における世界の体操を二分して君臨した。

[上迫忠夫]

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