ギリェン(Nicolás Guillén)(読み)ぎりぇん(英語表記)Nicolás Guillén

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ギリェン(Nicolás Guillén)
ぎりぇん
Nicolás Guillén
(1902―1989)

キューバ詩人民衆音楽の要素や口語のもつ音楽的、呪術(じゅじゅつ)的力を巧みに操る、黒人詩の代表的詩人。処女詩集『ソンのモチーフ』(1930)は、1920年代に白人前衛派によるアフロ・キューバ主義から生まれた純粋詩に属する。フォークロアを基盤にシュルレアリスム的隠喩(いんゆ)を用いた『ソンゴロ・コソンゴ』(1931)は、ウナムーノの絶賛を浴びた。続く『西インド諸島株式会社』(1934)では詩風は大きく変化し、社会詩の色を帯びる。37年の『スペイン――四つの苦悩と一つの希望による詩』でスペイン共和派を支持。革命と前後してさらに政治性を強め、『民衆のために舞う鳩(はと)』(1958)、『おれは持つ』(1964)、『大動物園』(1968)などを書く。

[野谷文昭]

『羽出庭梟編・訳『ギリェン詩集』(『世界現代詩集Ⅷ』所収・1963・飯塚書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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