精選版 日本国語大辞典 「口語」の意味・読み・例文・類語
くち‐がたり【口語】
こう‐ご【口語】
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文語に対するもの。口で話すことばの意であるが、最近は口語を話しことば(音声言語・口頭語)、文語を書きことば(書記言語・文章語)という場合が多い。この語は、明治以後、おもに用いられるようになった。古くは「雅語」に対して「俗語」といわれ、かならずしも重んじられなかったが、明治以後関心がもたれ、研究も進められてきた。とくに話しことばにおいては、標準語の必要が1894年(明治27)ごろから上田万年(かずとし)によって主張されたとき、それまでの地域・階層等による話しことばの違いから、どこに基準を置くかが問題であった。その口語文の具体的な例文としては、第一次国定読本(1904)、第二次国定読本(1910)に多く示され、その文法も、国語調査委員会『口語法』(1916)、『口語法別記』(1917)で、いちおうの解決がなされた。そこでは、だいたい東京の教育ある人々のことばを目当てとし、かつ全国に共通するものを考えに入れたという。それは、まだ関西的な言い方を考慮した基準であったが、この後、一般には関東的な言い方のほうが徐々に優位を占めるようになり、現在に至る。なお、口語を文章に書き表したものを「口語文」といい、これは言文一致の動きとともに形成されてきた。話しことばに基づいているものではあるが、実際の話しことばと比べると違いがあり、普通、(1)遊びことば(「エー」「ソノー」など)、(2)間投助詞(「……ネ」「……サ」など)等は用いないほか、(3)音の融合(「では」が「ジャ」、「すれば」が「スリャ」となるなど)等も、もとの形で用いることが多い。倒置、文脈のねじれなども整理した形で示し、文末の指定表現にも「である」を用いたりなどする。「口語文」は、本来の口語・文語という区別からすれば、書きことばであるから文語に含められるものであるが、いわゆる文語とは異なった口語のほうの文法体系に属するものとなる。「口語文法」というときは多くそれをさし、文語動詞の二段活用は一段活用に用いるなどのことがある。
[古田東朔]
『日下部重太郎著『現代の国語』(1913・大日本図書)』▽『国語調査委員会編『口語法』『口語法別記』(1916、17・国定教科書共同販売所)』▽『山本正秀著『近代文体発生の史的研究』(1965・岩波書店)』
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