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純粋詩 じゅんすいしpure poetry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

純粋詩
じゅんすいし
pure poetry

広義では詩本来の機能を純一に発揮した詩はすべて純粋詩と考えられ,その主張は古くからあるが,狭義では 18世紀以来の散文の台頭,隆盛への反動として散文的要素を排除するところに純粋性をみようとする自己目的的な詩をさす。そういう主張はロマン派の詩人にもみられたが,顕著に現れたのはポーからボードレールマラルメを経てバレリーにいたる象徴派や,W.ペーターから世紀末詩人にいたる唯美主義運動においてであった。特にペーターの「音楽への憧憬」を「祈り」に変えて H.ブレモンが主張する『純粋詩』 (1926) の理論は,「主題から絶対に独立した言葉の音楽的パターンの意図的構成」を説くバレリーの主張とともに,純粋詩論の枢軸となるものである。

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大辞林 第三版の解説

じゅんすいし【純粋詩】

経験的・散文的要素をすべて除いて、詩精神を、純粋に言語表現として定着しようとする詩。フランスの詩人マラルメに始まり、バレリーに受け継がれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

純粋詩
じゅんすいし
la posie pureフランス語

基本的には詩から詩以外の要素を排除するという詩観で、マラルメの詩論『詩の危機』や、バレリーがリュシャン・ファーブルの詩集『女神(めがみ)を知る』のために書いた序文で一般化した。
 1925年1月、歴史家でありまた批評家でもあるアンリ・ブレモンが「純粋詩」に関する講演を行い、いわゆる「純粋詩論争」が起こった。ブレモンはその論旨を、ポーの詩論や、ペイターの「あらゆる芸術はつねに音楽の状態に憧(あこが)れる」という音楽説によりながら展開したが、ブレモンの反知性主義は批評家チボーデの反論を浴びた。ブレモンによって純粋詩の詩人とされたバレリーは、論争に直接参加はしなかったが、自分にも「いささかの責任のある」ことを認め、間接的に参加した。しかし、前記の『女神を知る』の序文や、彼の講演「純粋詩」によれば、詩は主知的な構成を第一とし、純粋詩はあくまでも詩の立場を守る絶対詩la posie absolueに置き換えらるべきもの、というのがバレリーの立場である。[窪田般彌]

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世界大百科事典内の純粋詩の言及

【エルメティズモ】より

…ただし,その適用に大別して二つの方向性がある。第一は,19世紀から20世紀初めにかけての三大詩人,カルドゥッチ,パスコリ,ダヌンツィオに代表される旧来の修辞法と鋭く対立し,新たに自由な韻律の口語詩をあらわしたウンガレッティ,モンターレ,クアジモドらの純粋詩を総称する。これは批評家アンチェスキの《20世紀イタリアの詩法》(1953)に見られるごとく,イタリアの純粋詩〈エルメティズモ〉を,象徴主義とりわけマラルメからバレリーにかけてのフランス現代詩の流れと重ね合わせようとする態度で,より広く支持されている。…

【純粋小説】より

…事実,この観念は従来の小説概念を打破しようと志したジッドが,消去法的思考の果てにその脳裡に浮かべた実現不可能な夢にひとしいものだったのである。ちょうど同じ頃,友人P.バレリーが夢想した〈純粋詩〉が,到達不可能な,しかしなお到達を望むべき一つの夢であったのと同断である。【若林 真】。…

※「純粋詩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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