基本的には詩から詩以外の要素を排除するという詩観で、マラルメの詩論『詩の危機』や、バレリーがリュシャン・ファーブルの詩集『女神(めがみ)を知る』のために書いた序文で一般化した。
1925年1月、歴史家でありまた批評家でもあるアンリ・ブレモンが「純粋詩」に関する講演を行い、いわゆる「純粋詩論争」が起こった。ブレモンはその論旨を、ポーの詩論や、ペイターの「あらゆる芸術はつねに音楽の状態に憧(あこが)れる」という音楽説によりながら展開したが、ブレモンの反知性主義は批評家チボーデの反論を浴びた。ブレモンによって純粋詩の詩人とされたバレリーは、論争に直接参加はしなかったが、自分にも「いささかの責任のある」ことを認め、間接的に参加した。しかし、前記の『女神を知る』の序文や、彼の講演「純粋詩」によれば、詩は主知的な構成を第一とし、純粋詩はあくまでも詩の立場を守る絶対詩la poésie absolueに置き換えらるべきもの、というのがバレリーの立場である。
[窪田般彌]
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…ただし,その適用に大別して二つの方向性がある。第一は,19世紀から20世紀初めにかけての三大詩人,カルドゥッチ,パスコリ,ダヌンツィオに代表される旧来の修辞法と鋭く対立し,新たに自由な韻律の口語詩をあらわしたウンガレッティ,モンターレ,クアジモドらの純粋詩を総称する。これは批評家アンチェスキの《20世紀イタリアの詩法》(1953)に見られるごとく,イタリアの純粋詩〈エルメティズモ〉を,象徴主義とりわけマラルメからバレリーにかけてのフランス現代詩の流れと重ね合わせようとする態度で,より広く支持されている。…
…事実,この観念は従来の小説概念を打破しようと志したジッドが,消去法的思考の果てにその脳裡に浮かべた実現不可能な夢にひとしいものだったのである。ちょうど同じ頃,友人P.バレリーが夢想した〈純粋詩〉が,到達不可能な,しかしなお到達を望むべき一つの夢であったのと同断である。【若林 真】。…
※「純粋詩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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