ギリシア建築(読み)ギリシアけんちく(その他表記)Greek architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギリシア建築」の意味・わかりやすい解説

ギリシア建築
ギリシアけんちく
Greek architecture

ギリシアでは公共建築は発達したが,個人の住宅は簡単なものであった。通例,各都市のアゴラには議事堂,裁判所などのほか,ストア,市場,神域などが集り,神域には神殿を中心に宝庫,劇場,スタディオンなどが配置されていた。ギリシア建築の中心は神殿であり,その歴史も神殿形式の発展の歴史といえる。最も古いものとしては,ミケーネメガロンにその形式をとったものがあり,前7世紀に入って急速に発達し,前6世紀になるとドーリス,イオニア両様式が確立された。神殿の平面は東西に長い長方形で,東面を入口とし,周柱式の柱の数は正・背面 (東・西面) が6に対して側面 (南・北面) 13,あるいは8に対して 17とするのが標準。立面は垂直円柱と壁が水平の梁と切妻屋根を支える楣式構造であり,これは神殿が本来木造であったことを示すものである。切妻屋根によって生じる正背面の三角形の破風は,最初は絵画や浮彫,のちには丸彫の群像彫刻で飾られた。ギリシア建築は絵画,彫刻とともに古典期に最盛期に達し,やがてイオニア様式のバリエーションとしてコリント様式も生み出された。また神殿にはトロスと呼ばれる円形平面のものもあった。

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