クロロギ酸エステル(読み)クロロギサンエステル

化学辞典 第2版 「クロロギ酸エステル」の解説

クロロギ酸エステル
クロロギサンエステル
chloroformic ester

クロロ炭酸エステルともいう.遊離のクロロギ酸(Cl-COOH)は存在しないが,エステルにはクロロギ酸メチル(ClCOOCH3)やクロロギ酸エチル(ClCOOC2H5)などがある.いずれも低温でホスゲンにアルコールを作用させると得られる.

COCl2ROH → ClCOOR + HCl

メチルエステルC2H3ClO2(94.50)は,強い催涙性のある液体沸点72.5 ℃(102 kPa).1.2231.1.3868.催涙性毒ガスに用いられる.エチルエステルC3H5ClO2(108.53)は,刺激性の不快な臭気をもつ液体.沸点95 ℃.1.1403.1.3947.皮膚,粘膜に刺激性,腐食性がある.いずれもエタノールエーテルクロロホルムベンゼンなどに任意の割合でまざる.酸塩化物の性質を有し,水により徐々に分解する.アルコールと加熱すれば中性の炭酸エステルに,アンモニアアミンと作用すればウレタンを経て尿素になる.アルコキシカルボニル誘導体の合成に用いる.[CAS 79-22-1:メチルエステル][CAS 541-41-3:エチルエステル]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロロギ酸エステル」の意味・わかりやすい解説

クロロギ酸エステル
クロロギさんエステル
chloroformic ester

普通クロロギ酸エチル ClCOOC2H5 をさす。ホスゲンにエチルアルコールを作用させると生成する。刺激臭のある液体。エチルアルコール,エーテル,ベンゼンによく溶け,また水,アンモニア,希酸によって分解する。沸点 94~95℃。エトキシカルボニル誘導体をつくるのに有効な合成化学上の試薬

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