ウレタン(読み)うれたん(英語表記)urethane

翻訳|urethane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウレタン」の意味・わかりやすい解説

ウレタン
うれたん
urethane

カルバミン酸エステルH2NCOORおよびそのN-置換体総称の場合と、狭義にはカルバミン酸エチルをいう場合とがある。遊離のカルバミン酸H2NCOOHは実在しないが、そのエステルは安定な化合物として存在する。アルコールあるいはフェノールクロロシアン、塩化カルバモイルあるいは尿素を反応させて得られる。白色の結晶体で、アルカリの作用でアルコール、二酸化炭素およびアンモニアに分解する。

 カルバミン酸エチルはエチルウレタンともいう。白色の柱状結晶。エタノールエチルアルコール)と尿素とを加熱するか、炭酸ジエチルあるいはクロロ炭酸エチルにアンモニアを作用させてつくる。水、アルコール、クロロホルムに易溶、エーテルに可溶。催眠作用があるが、習慣性が強いため、現在では催眠薬としては用いられていない。細胞分裂を抑制する作用があり、抗腫瘍剤(こうしゅようざい)として使用される。また殺虫剤、動物用麻酔剤としても用いられる。

山本 学]


ウレタン(データノート)
うれたんでーたのーと

ウレタン
カルバミン酸エチル

 分子式 C3H7NO2
 分子量 89.09
 融点  48.2℃
 沸点  184℃

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウレタン」の意味・わかりやすい解説

ウレタン
urethane

広義には,カルバミン酸エステルおよびその置換体の総称 (カルバメート) であるが,狭義には,カルバミン酸エチルエステル H2NCOOC2H5 をさす。柱状晶,融点 49~50℃,催眠作用をもつ。延髄以下が抑制されないので,動物実験の麻酔に使われる。

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