コロラドダニ熱(読み)コロラドだにねつ(その他表記)Colorado tick fever

改訂新版 世界大百科事典 「コロラドダニ熱」の意味・わかりやすい解説

コロラドダニ熱 (コロラドだにねつ)
Colorado tick fever

アルボウイルス群に属するウイルスが,マダニの1種(Dermacentor andersoni)の体内で増殖し,刺咬によりヒトに伝播されて発症する感染症。カナダから北アメリカのロッキー山地に分布し,以前はロッキー山紅斑熱の軽症型と混同されていたが,1930年に独立疾患とされた。5~6月に多い。潜伏期は3~6日で,背痛,下肢筋痛,悪寒,頭痛,羞明(しゆうめい)(まぶしさ)などで発病し,腹痛嘔吐,頻脈,結膜充血を伴う。ときに脾腫を伴い,種々の型の発疹が出る。2日間発熱後,2日間無熱となり,再び3日ぐらい発熱するという鞍型の熱型を呈することが多い。1~2週間後に解熱に向かう。まれに髄膜炎脳炎を伴う。白血球減少,血小板減少,核左方移動,異型リンパ球出現が起こる。血液・髄液からのウイルス分離,血液のマウス接種,蛍光抗体染色などで診断される。回復後も,数ヵ月間ウイルスは血流中に残存する。治療は対症療法のみであるが,予後はよく,罹患後免疫をうる。予防はダニを避けること。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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