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髄膜炎 ずいまくえんmeningitis

翻訳|meningitis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

髄膜炎
ずいまくえん
meningitis

脳膜炎,脳脊髄膜炎ともいう。髄膜のうち硬膜を除く軟膜,クモ膜の炎症をいう。独立して起ることは少く,原因によって,化膿性,結核性,流行性 (→流行性脳脊髄膜炎 ) ,漿液性,または無菌性に分けている。原因によって症状はそれぞれ違うが,高熱,頭痛,意識障害,筋肉,ことに頸筋けいれんと強直,うわごと,嘔吐が起ることが多い。抗生物質が開発されるまで,多くは予後がきわめて悪かったが,現在では回復することが多くなってきた。

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百科事典マイペディアの解説

髄膜炎【ずいまくえん】

脳脊髄膜炎

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家庭医学館の解説

ずいまくえん【髄膜炎 (Meningitis)】

 脳(のう)と脊髄(せきずい)は、脳脊髄膜という連続した膜で包まれています。この脳脊髄膜にいろいろな原因で炎症がおこるのが髄膜炎です。
 細菌(さいきん)、真菌(しんきん)(かび)、ウイルスなどの病原微生物(びょうげんびせいぶつ)が直接、脳脊髄膜に感染しておこることが多いものです。そのほかに、がんや悪性リンパ腫(しゅ)などの腫瘍細胞(しゅようさいぼう)の脳脊髄膜への転移、梅毒(ばいどく)、サルコイドーシスワイル病、ベーチェット病、膠原病(こうげんびょう)などの病気や薬剤の使用などによっておこる髄膜炎もあります。

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世界大百科事典 第2版の解説

ずいまくえん【髄膜炎 meningitis】

いわゆる脳膜炎のことで,脳脊髄膜炎ともいう。髄膜の炎症は硬膜を侵す硬膜炎pachymeningitisとくも膜,軟膜を侵す軟膜炎leptomeningitisに大別されるが,後者が髄膜の炎症の大部分を占め,通常単に髄膜炎と呼ばれる。病因としては細菌,真菌,ウイルスなど多数の起炎菌が知られている。多くは上気道感染など身体の他の部位の感染巣からの血行性の二次感染であるが,副鼻腔炎や中耳炎などから炎症が直接髄膜に波及することもある。

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大辞林 第三版の解説

ずいまくえん【髄膜炎】

軟膜・蜘蛛膜の急性炎症。病原体は化膿菌・結核菌・髄膜炎菌・ウイルスなど。脳脊髄膜炎。旧称、脳膜炎。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

髄膜炎
ずいまくえん

脳・脊髄(せきずい)を取り巻く髄膜の炎症で、かつては脳脊髄膜炎、脳膜炎ともよばれた。髄膜は硬膜・クモ膜(くも膜)・軟膜の3層からなり、髄膜炎は原則として、クモ膜および軟膜の炎症をさし、軟膜炎ともいう。
 もっとも頻度の高い髄膜炎は、インフルエンザ菌、髄膜炎菌(流行性髄膜炎)、肺炎球菌、ブドウ球菌などの感染によっておこる急性化膿(かのう)性髄膜炎である。たいていは、他の臓器の化膿巣が源となる。また、結核性髄膜炎や真菌性髄膜炎は、それほど急激でなく亜急性ないし慢性の経過をとる。感染による髄膜炎には、このほかスピロヘータ、リケッチア、ウイルスなどによるものがある。非感染性髄膜炎は腫瘍(しゅよう)などによって引き起こされる。
 症状は、いずれの場合でも頭痛がもっとも早期にみられる。仰臥(ぎょうが)位で患者の頭部を持ち上げてみると、明らかな抵抗があり、頭の屈曲が不十分となる(項部強直)。また、仰臥位で股(こ)関節と膝(しつ)関節を屈曲させた位置にして、膝(ひざ)を持って下腿(かたい)を伸展させようとしても膝をまっすぐに伸ばすことができない(ケルニッヒ徴候)。知覚が過敏となったり、まぶしがることもある。これらの症状は髄膜の炎症の激しさによってその強弱に差はあるが、各種髄膜炎に共通してみられる(髄膜刺激症状)。発熱も重要な症状であり、とくに化膿性髄膜炎では寒気とともに高熱を出す。どのような原因による髄膜炎であるかは、おもに髄液検査によって診断される。細菌や真菌(カビ)による感染性髄膜炎では、髄液より原因菌を証明する。
 治療は、全身管理や対症療法のほか、原因に対する治療が不可欠である。急性化膿性髄膜炎に対しては、種々の抗生物質製剤のうち原因菌に対し有効なものを感受性試験などによって選択して用いる。結核性髄膜炎に対しては、ヒドラジッド、パスなどの抗結核剤が用いられる。
 髄膜炎は手遅れになると死亡率が高く、種々の後遺症を残すことも多くなる。なお、ウイルス性髄膜炎には特効薬はないが、たいていは自然治癒する。[海老原進一郎]

真菌性髄膜炎

クリプトコックスによるものがもっとも多くみられ、まれに他の真菌によってもおこされる。症状はほぼ同様である。
 クリプトコックス髄膜炎は、クリプトコックス・ネオフォルマンスCryptococcus neoformansによるもので、この菌は酵母様真菌に属し、ハトの糞(ふん)にとくに好んで発育する。菌は乾燥して空中を飛び、吸入されて肺炎をおこす。この肺炎は自然治癒しやすく、菌が血流によって肺から髄膜に転移し、髄膜炎をおこしてから初めてこの感染に気づくのが普通である。頭痛をはじめ、嘔吐(おうと)、発熱、けいれん、麻痺(まひ)、意識障害など、いろいろな神経症状を呈する。前述のように慢性あるいは亜急性に経過するのが特徴的である。治療には抗真菌剤が用いられ、とくにアムホテリシンBの点滴静脈注射がよく、フルオロシトシンの併用も有効である。重症疾患の末期に発病したものはよくないが、早期診断、早期治療によって治癒する。[福嶋孝吉]

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世界大百科事典内の髄膜炎の言及

【頭痛】より

…(1)1日のうちいつ頭痛が起こりやすいか,(2)頭痛は持続性か発作性かまたは周期性か,(3)頭痛の強さと性質(ずきずき痛む拍動性,ずーんと痛む圧迫性,きりきり痛む乱切性など),(4)頭痛の部位,(5)頭痛の誘因(疲労,不眠,月経,天候,職業など),(6)薬物の効果,(7)随伴症状(吐き気,嘔吐,閃輝暗点,半盲,視力低下,複視,流涙,鼻汁,角膜や顔面の潮紅など)の有無と頭痛との時間的関係,(8)患者の生活歴,(9)合併症の有無,(10)家系内の類症者など。 発症のしかたについては,突発性の強い頭痛はとくに意識障害や局所的神経症状を伴う場合や,脳出血や髄膜炎などにみられる。高齢者で初発した再発性あるいは持続性の頭痛は,頭蓋の動脈炎,緑内障,頸動脈などの循環不全あるいは高血圧によることが多い。…

※「髄膜炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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