日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーソ」の意味・わかりやすい解説
コーソ
こーそ
Gregory Nunzio Corso
(1930―2001)
アメリカのビート派詩人。イタリア系移民の子としてグリニジ・ビレッジのスラム街に生まれる。何度も少年院送りとなり、20歳まで3年間は刑務所にいた。文学に目覚めたのもそのころで、やがてギンズバーグらを知り、詩を書き始めた。ギンズバーグ、ケロアックと並んで、彼は「ビート派」のもともとの作家である。「サンフランシスコ・ルネサンス」の立役者となったこの有名な作家や詩人のなかでは、彼は無垢(むく)の子供のような存在であり、また道化の役割をもっていた。初期の作品は独学によって書かれた感じであり、しばしば滑稽(こっけい)さを表すだけでなく、読者の胸を打つ真実味もある。詩集に『ガソリン』(1958)、『死の幸福な誕生日』(1960)、『人間ばんざい』(1962)、『土まみれの手』(1981)、ほかに小説、戯曲もある。
[徳永暢三]