日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイレン(音響器械)」の意味・わかりやすい解説
サイレン(音響器械)
さいれん
siren
警報、時報、信号などに使用される音響器械。1819年フランスの物理学者トゥールC. C. de la Tourが考案した。小さい穴をたくさんあけた二つの円板を重ね合わせ、この穴に空気を吹き付け、一方の円板を回転させると、両方の板の穴の位置があったときにだけ空気が吹き抜ける。このとき、小さい穴の数と円板の回転数とを掛け合わせた振動数の音を発生する。円板の回転数を変えると高低さまざまの音を出せる。空気は別に備えた送風機で吹き付けたり、回転する円板自身が送風機の役目をするようになっているものなどがある。円板を回転させるのにはハンドルを手で回すものと、モーターによるものとがある。発生する音はかなり大きく遠方まで届くので、救急車、消防車や騒音の多い工場などで使用される。なお、現在では電子式のサイレンも多く使われるようになってきている。
[中山秀太郎]