警報(読み)ケイホウ

デジタル大辞泉 「警報」の意味・読み・例文・類語

けい‐ほう【警報】

災害・危険が迫ったことを伝えて、注意準備を人々に促すこと。また、その知らせ。「洪水警報が出る」「警報が解除される」→気象警報

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精選版 日本国語大辞典 「警報」の意味・読み・例文・類語

けい‐ほう【警報】

  1. 〘 名詞 〙 危険が起こりそうな時、人々に注意して警戒させること。また、その知らせ。暴風雨・出水・火事・空襲などの危険を、まえもって、ラジオテレビサイレン、鐘などで知らせること。
    1. [初出の実例]「信長得警報、令成政等馳還拒一レ之」(出典:日本外史(1827)一四)
    2. 「突然一警報を耳にす」(出典:愛弟通信(1894‐95)〈国木田独歩〉波濤)

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改訂新版 世界大百科事典 「警報」の意味・わかりやすい解説

警報 (けいほう)

気象警報,津波警報火災警報など自然現象だけではなく,広義には空襲警報のように人為的な原因によって被害が生ずると予想される時,注意をうながすために出される情報をいう。したがって目的,通知する対象により,内容,警報を出す責任機関なども違ってくる。警報は災害を防ぐ準備をするために出されるものであり,とくに避難には有効である。警報は精度が高いことが望ましいが,避難時間などは現象の起こる相当前に出す必要があり,精度を多少落としても,早めに出した方がよい。警報の効用は,被害の大きさ,災害対策に必要な経費も大きく関係し,経費が少ない時は,的中率が低くとも効用は大きく,経費が大きい時は,的中率が高くないと効用は小さい。なお,被害はその原因となる現象の強さだけではなく,人間側の対策にも関係し,同じ強さの現象が起きても,被害の程度は時代とともに変わる。また時には新しい被害が出ることもあるので,その関連を常に調べておくことが望ましい。

 警報の始まりは,気象庁前身の東京気象台から1883年5月26日に出された暴風警報で,1908年からは現在の各県の気象台に当たる測候所からも出されるようになった。警報はなるべく短い時間にひろく通知されることが望ましい。明治から大正にかけては新聞,測候所や港などに立てられた暴風を示す旗が中心であったが,25年にNHKのラジオ放送が始まり,天気予報とともに暴風警報も放送されるようになり,警報の効果があがるようになった。34年の室戸台風により甚大な災害が起きた時の経験から,それまで暴風警報だけであったものを,新たに気象特報を追加し,ふつうはこれを出し,特別に甚大な被害が生ずるおそれがある時には気象警報にするという2段階にわけられ,35年から実施された(1952年に気象特報は気象注意報と名称が変えられた)。気象警報だけであると発表される回数が多くなり,警報の効用が減少するからである。津波の予報は地震の震源や規模などを判定すると予測が可能であるが,地震が起きて津波のくる時間は,数十分程度のことが多く,一般の人に知らせるのは容易ではない。1941年に仙台気象台が中心となって津波警報が始められ,47年に全国組織となり,気象庁,管区気象台から発表されるようになった。60年5月23日のチリ地震津波以後,津波警報は整備され,大地震のあと,20分以内で津波警報がテレビやラジオで放送されるようになった。

 地域,年などにより違うが,警報は同じ地区に対してはふつう年2~3回くらいまでが望ましく,注意報は,種類によっては年20~30回出ることもあるが,あまり多いのは望ましくはない。

 現在,気象庁の発する警報は,災害を起こす気象または関連する現象の名称をつけて発表される。一般向けとしては,気象警報(大雨警報,大雪警報,暴風警報,暴風雪警報が含まれる),地面現象警報(大雨や大雪によって生ずる山崩れや崖崩れなどを警告する),津波警報,高潮警報,波浪警報,浸水警報,洪水警報として発表される。このうち,地面現象警報,洪水警報は,単独では出さず,関連する気象警報の中で報じられる。なお,洪水警報のうち,一般河川については気象警報の中で報じられるが,大河川については建設省の機関と,気象台の共同で発表される。このほか,気象台からの火災気象通報により,市町村などから発表される火災警報がある。

 飛行機には気象警報がとくに重要であり,特別に空港にある気象台または測候所から,飛行場警報,空域警報,航空路警報が出される。航行している船には海上警報が無線で放送される。その内容は低気圧の強さ,位置,進行速度,波の状況などが主で,飛行機,船舶向けの注意報は出されていない。

 このほか,水防活動用に水防活動用気象警報,水防活動用高潮警報,水防活動用洪水警報があり,建設省の機関と共同で発表される。
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