サンスクリット劇(読み)サンスクリットげき(英語表記)Sanskrit drama

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンスクリット劇」の意味・わかりやすい解説

サンスクリット劇
サンスクリットげき
Sanskrit drama

インド古典演劇。紀元前後に一応の演劇形態をもっていたといわれ,アシュバゴーシャバーサを経て4~5世紀にはカーリダーサ頂点として黄金時代を迎えた。カーリダーサの『シャクンタラー』をはじめとする三大戯曲のほか,シュードラカの『ムリッチャカティカー』などがサンスクリット劇の代表作。完成期には叙事詩的演劇から人間の真理を追究する芸術的表現へと発展したが,サンスクリット文学衰亡とともに衰退散文,韻文混用の文体で書かれ,神話や説話上の王や貴人の生活,活動,恋愛をおもな内容とする。極度に象徴化された演技で,歌舞・マイムを伴い,すべてハッピーエンドとなるのが特徴。近年この古典劇を復興・保存する動きが盛んで,南部のケララ州ではクディヤッタムとして伝承されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「サンスクリット劇」の意味・わかりやすい解説

サンスクリット劇 (サンスクリットげき)

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世界大百科事典(旧版)内のサンスクリット劇の言及

【インド演劇】より

…中古の古典サンスクリット文学隆盛期には,多くのすぐれた戯曲が制作され,上演されたが,近世になってサンスクリット文学が衰退すると演劇は特に衰微し,近代インド諸方言による演劇にも見るべきものがなく,わずかに西欧近代劇の影響をうけたタゴールの戯曲とか,地方の通俗芝居が見られるだけで,伝統的な古典サンスクリット劇の上演はきわめてまれにしか見られない。現代では演劇の分野は映画によって代わられ,テレビドラマも多くは映画の再映である。…

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