シャクンタラー(読み)しゃくんたらー(英語表記)Śakuntalā

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャクンタラー」の意味・わかりやすい解説

シャクンタラー
Śakuntalā

インド,サンスクリットの古典戯曲。正しくは『アビジュニャーナシャクンタラー』 Abhijñānaśakuntalā。日本では『思い出されたシャクンタラー』と呼ばれる。4~5世紀頃の詩人カーリダーサ作。大叙事詩『マハーバーラタ』やヒンドゥー教聖典『パドマ・プラーナ』などから取材し,脚色したもの。美しい詩文とその構想はインド文学の最高傑作として世界的に有名。ドゥシュヤンタ王は山中で出会った天女の娘シャクンタラーと恋に落ち,結婚指輪を渡して城に帰るが,仙人に彼女を忘れる呪法をかけられる。そこへ指輪を失ったシャクンタラーがたずねてくるが,王の記憶は戻らない。ある日,魚の腹から指輪が見つかったことから王の記憶が戻り,天界から下った使者と協力して悪魔を倒し,天界でシャクンタラーと再会する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャクンタラー」の意味・わかりやすい解説

シャクンタラー
しゃくんたらー
Śakuntalā

古代インドの7幕からなるサンスクリット劇。4~5世紀に活躍した詩人・劇作家のカーリダーサの作。天女の娘シャクンタラーとドゥフシャンター王との恋愛は仙者呪詛(じゅそ)によって絶たれるが、記念の指輪の発見によって王の記憶がよみがえり両人は再会を喜ぶ。ナータカという演劇形式をとり、『マハーバーラタ』などにある伝説を巧みに潤色したもので、その構想の妙、詞藻の美は古典サンスクリット文学はもとより、インド文学最大の傑作と称せられる。

[田中於莵弥]

『辻直四郎訳『シャクンタラー姫』(岩波文庫)』『田中於莵弥訳『世界の文学大系4 インド集 シャクンタラー』(1959・筑摩書房)』

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