日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュードラカ」の意味・わかりやすい解説
シュードラカ
しゅーどらか
Śūdraka
生没年不詳。3世紀ごろ活躍した古代インドの劇作家。サンスクリット劇『ムリッチャカティカー』(土の小車)の作者といわれ、100歳の長寿を全うした学徳円満の王と伝えられる。10幕からなるこの劇は、ヒロインの名をとって『バサンタセーナー』ともよばれ、零落した商人と遊女の恋愛を主題とする。第4幕まではバーサの戯曲『チャールダッタ』をほとんどそのまま取り入れている。場面の多くは市井のできごとで変化に富み、登場人物も多く、悲劇・喜劇的要素を備え、二十数種のプラークリット語を使用した古典劇中特異の作品。
[田中於莵弥]
『岩本裕訳『世界文学大系4 インド集 土の小車』(1959・筑摩書房)』