日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンスーシ離宮」の意味・わかりやすい解説
サンスーシ離宮
さんすーしりきゅう
Sanssouci
18世紀ドイツの代表的ロココ建築で、プロイセンのフリードリヒ大王の建てた離宮。ドイツ、ポツダム郊外のサンスーシ公園内にある。建築家クノーベルスドルフ(1699―1753)を相談役にして王自身が設計を行ったといわれており、1745年に起工、47年に完成した。6段のテラスをなす広大な丘陵上に建てられた平屋の建物で、中央部は半月形に張り出している。内部は大王のフランス趣味を示す優雅で調和のとれたロココ様式の装飾で飾られており、大王の間、ボルテールの間、図書館、ギャラリーなどが名高い。大王は、サンスーシsans souci(フランス語で「憂いなし」の意)と命名したこの宮殿をとくに愛し、治世の大半をここで過ごしており、ボルテールなど多くの文人、芸術家を招いて楽しみ、またここで死を迎えた。この宮殿を含む、ポツダムとベルリンの宮殿と公園は世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[篠塚二三男]