日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シェリング(Arnold Schering)
しぇりんぐ
Arnold Schering
(1877―1941)
ドイツの音楽学者。ブレスラウ(ブロツワフ)に生まれる。ベルリン大学などで音楽学を学び、1902年にライプツィヒ大学のクレッチマーのもとで、ビバルディ以前の器楽協奏曲の歴史に関する論文によって学位を取得。『バッハ年鑑』Bach Jahrbuchの編集などに携わったのち、1928年から没するまでベルリン大学の音楽学正教授の地位にあった。彼の業績は甚だ多岐にわたっているが、とりわけバッハ研究は、バロック時代の音楽と修辞学との関係を明らかにした先駆的研究として知られている。さらに、音楽の象徴内容解釈に力点を置いた『ベートーベンと文芸』Beethoven und die Dichtung(1936)などの一連のベートーベン研究は、クレッチマーの音楽解釈学の継承発展として、音楽美学史的にも重要である。また、古楽の演奏法の研究や資料の整備に尽力した功績も大きい。
[渡辺 裕]
『シェーリング編、モーザー補、皆川達夫訳『西洋音楽史年表』(1971・音楽之友社)』
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