シガトキシン

化学辞典 第2版 「シガトキシン」の解説

シガトキシン
シガトキシン
ciguatoxin

C60H86O19(1111.29).熱帯亜熱帯のサンゴ礁海域で発生する魚類による食中毒シガテラといい,この主原因となる化合物.シガテラは,この海域に成育する渦鞭毛藻Gambierdiscus toxicusが生産するシガトキシンが,食物連鎖により魚類に蓄積されることによって引き起こされる.シガトキシンの構造上の特徴は,はしご状に連なる13個のエーテル環からなるポリエーテル構造にある.シガトキシンのこうした生理作用は,神経細胞の電位依存性ナトリウムチャンネルを活性化して,シグナル伝達をかく乱することに起因するとされている.シガトキシンのほかにも類似の構造を有する数種の毒素が単離されている.また,シガテラ中毒の原因物質として,サザナミハギ(タヒチ名マイト)に含まれるマイトトキシン(maitotoxin)が知られている.LD50 530 mg/kg(マウス,経口),0.25 μg/kg(ネズミ,静注).[CAS 11050-21-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シガトキシン」の意味・わかりやすい解説

シガトキシン
しがときしん
ciguatoxin

ある種の魚類に存在する脂溶性の毒素。主として熱帯、亜熱帯の肉食魚に含まれ、これによる食中毒はシガテラと総称される。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のシガトキシンの言及

【魚貝毒】より

…シガテラ毒魚としては,バラフエダイ,イッテンフエダイ,ドクウツボ,サザナミハギ,ドクカマス,マダラハタ,ギンガメアジ,ヒラマサ,イトヒキフエダイ,ナンヨウブダイなどが知られている。原因物質には脂溶性のシガトキシンなど数種の毒が存在することがわかってきた。このためその症状は複雑で,嘔吐,下痢などの胃腸障害から,関節痛,頭痛,倦怠感などのほか,フグ中毒に似た口や手足のしびれなどの神経症状まで含まれる。…

※「シガトキシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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