シャナ(読み)しやな

日本歴史地名大系 「シャナ」の解説

シャナ
しやな

漢字表記地名「紗那」のもとになったアイヌ語に由来する地名。コタン名のほか河川名・沼名としても記録されている。エトロフ島中部の湾奥に位置する。天保郷帳には「ヱトロフ嶋」のうちに「シヤナ」とみえ、当地一帯は近代に入り紗那村に包含された。仮名表記は「シヤナ」(「蝦夷巡覧筆記」、木村「蝦夷日記」、「北夷談」「東蝦夷地場所大概書」「東行漫筆」、「蝦夷日誌」三編、「行程記」)のほか「シヤナア」(夷諺俗話)もある。漢字表記は「斜那」(寛政一二年「恵登呂府村々人別帳」近藤重蔵蝦夷地関係史料)、「斯耶奈」(児山「蝦夷日記」)もみられる。エトロフ場所会所は当初ヲイトに設けられていたが、一九世紀初頭に当地に移されたという。一八〇三年(享和三年)エトロフ在勤となった松田伝十郎は「此所は当嶋一番に打開き、産業もおもにあり、嶋中へ通路も能所ゆへに、詰所と定め、会所を造営して此処を元小屋となし、会所、前は海にて後は山続きにて良材多し」(北夷談)と記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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