シュタイン=レーベンタール症候群(読み)シュタインレーベンタールしょうこうぐん(英語表記)Stein-Leventhal syndrome

改訂新版 世界大百科事典 の解説

シュタイン=レーベンタール症候群 (シュタインレーベンタールしょうこうぐん)
Stein-Leventhal syndrome

1935年にアメリカの産婦人科医シュタインIrving F.SteinとレーベンタールMichael L.Leventhalとが両側卵巣が腫大して多囊胞性変化を起こして不妊になっている患者の報告を行って以来,今日では,不妊,多毛,男性化症状,肥満などの症状を兼ね備えた多囊胞卵巣症例をシュタイン=レーベンタール症候群と呼んでいる。日本人の場合には,このように典型的な男性化症候を備えた症例は少ないが,多囊胞卵巣だけの症例は無月経や不妊症の婦人に決して少なくはない。これは,多囊胞化した卵巣からの男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が欧米人に比べて少ないからである。この病気の原因として,脳下垂体と卵巣との働きを支配調節している脳(視床下部)の機能が悪いからだとする中枢障害説,卵巣そのものの中でホルモンを代謝していく過程で働く酵素の障害があるからだとする学説,あるいは卵巣白膜の肥厚が原因とする学説がある。いずれにしても,卵巣をくさび形に切り取る手術による治療効果が高い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報