シーリー(John Robert Seeley)(読み)しーりー(英語表記)John Robert Seeley

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シーリー(John Robert Seeley)
しーりー
John Robert Seeley
(1834―1895)

イギリスの歴史家。ケンブリッジ大学卒業後、1869年、同大学の近代史欽定講座担当教授となり、生涯そこにとどまった。その学風は、歴史を政治史、とくに国際政治外交史ととらえるところに特徴がある。主著に「ローマ帝国没落」、「ミルトン」等を収めた『講義・論文集』(1870)、彼の名を不朽にした83年出版の講義録『イギリス膨張史論』がある。同書は、名誉革命からナポレオン戦争に至るイギリス・フランス間の抗争を、植民地と商業観点から簡潔かつ的確に描き、当時のイギリス国民の植民地獲得熱を高めるうえで大いに貢献した。晩年には、アイルランド自治に反対して自由党から分離した自由統一党に参加し、イギリス本国と植民地の紐帯(ちゅうたい)強化を図る帝国連合同盟とも密接な関係をもった。

[石井摩耶子]

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