ジギトキシン

デジタル大辞泉 「ジギトキシン」の意味・読み・例文・類語

ジギトキシン(digitoxin)

ジギタリスの葉に含まれる強心配糖体。水に不溶で、アルコール可溶加水分解により、ジギトキシゲニンジギトキソースを生じる。化学式C41H64O13

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化学辞典 第2版 「ジギトキシン」の解説

ジギトキシン
ジギトキシン
digitoxin

C41H64O13(764.94).ジギタリスDigitalis purpureaの乾燥葉から,50% アルコールにより抽出される第二次配糖体.酸で加水分解され,ジギトキシゲニン(1分子),D-ジギトキソース(3分子)を生じる.糖部はアグリコンの3位についている.融点257 ℃.+4.8°(ジオキサン).1 g は約40 mLクロロホルム,約60 mL のエタノールに溶ける.水に難溶.原配糖体ラナトシドA(ジギラニド)をアルカリ加水分解後,ジギラニダーゼで酵素分解するとジギトキシンを与える.強心作用を示し,強心薬(うっ血性心不全,頻脈などの治療)に使用される.LD50 0.18 mg/kg(ネコ).[CAS 71-63-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジギトキシン」の意味・わかりやすい解説

ジギトキシン
digitoxin

C41H64O13ジギタリスの葉に含まれる強心作用をもつ配糖体。加水分解により1分子のジギトキシゲニンと3分子のジギトキソースを生じる。水に不溶の白色結晶で,アルコール,クロロホルムには可溶である。ジギタリス植物が本来有するプルプレア配糖体Aの分解物としても得られる。薬理作用は遅効,持続性である。

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世界大百科事典(旧版)内のジギトキシンの言及

【ジギタリス】より

…イギリスの医師ウィザリングWilliam Witheringは,ある老婆が20種以上の薬草から成る家伝の秘薬を水腫の治療に用いていることを知り,その有効成分がジギタリスであることをつきとめ,利尿薬として紹介したのが1775年であった。現在では,ジギタリス葉中の有効成分の化学構造も明らかにされており,ジギトキシンdigitoxinやギトキシンgitoxinという強心配糖体が有効成分として含まれていることがわかっている。正しくはないが,強心薬または強心配糖体の総称としてジギタリスの語を用いることがある。…

【心臓薬】より

…いずれもステロイド骨格を有する配糖体で強心ステロイドとも呼ばれる。ジギトキシン,ジゴキシン,ストロファンチンなどである。またこれらの糖がとれた形のゲニンも強心作用を示す。…

【有毒植物】より


[中毒をおこす有毒植物]
 これには心臓,神経系に作用する有毒植物の致死毒性が特に強いものがある。例えば,ジギタリスにはジギトキシンなどのステロイド配糖体が含まれており,心筋の収縮力を強めるとともに利尿作用をあらわし,昔から薬用とされた。しかし用量安全域がせまく,副作用として食欲不振,悪心,嘔吐をさそい,多量に使用すれば心臓停止による死を招く。…

※「ジギトキシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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