ジフェニルエーテル殺虫剤(読み)じふぇにるえーてるさっちゅうざい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ジフェニルエーテル殺虫剤
じふぇにるえーてるさっちゅうざい

殺虫剤を化学構造に基づいて区分したときの分類の一つ。ジフェニルエーテル殺虫剤とは、ジフェニルエーテルにアルコキシ基が結合した基本構造を有し、昆虫に特有な成育過程を阻害する殺虫剤の総称である。
 昆虫の脱皮と変態は、幼虫の形質を維持しようとする幼若(ようじゃく)ホルモン(ジュブナイルホルモン=juvenile hormone:JH、アラタ体ホルモンともいう)とステロイド骨格を有する脱皮ホルモン(エクジソン)により調節されている。JHはおもに5種類あり、昆虫の種や発育時期により、その作用するJHが異なる。昆虫固有のホルモンであるJHは、自然環境下では不安定であるため構造改変され、1975年にJHと構造が類似したジフェニルエーテル殺虫剤であるメソプレンが、カやハエを対象とした防疫用殺虫剤、ペットのノミやシラミ駆除剤として実用化された。
 より安定で高活性を示すジフェニルエーテル殺虫剤として、フェノキシカルブとピリプロキシフェンが開発され、アブラムシ、カイガラムシ、オンシツコナジラミおよびミナミキイロアザミウマ等の農業害虫の防除剤として使用されている。その殺虫作用は、これらの化合物がJHと同じ作用を示すことにより、昆虫の正常な変態を阻害することに起因する。[田村廣人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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