ジブラ法則(読み)ジブラほうそく

改訂新版 世界大百科事典 「ジブラ法則」の意味・わかりやすい解説

ジブラ法則 (ジブラほうそく)

所得をはじめとする経済変数は対数変換によって正規型になる場合が少なくない。フランスの統計学者ジブラR.Gibrat(1904- )は,対数正規分布所得分布が近似できると1931年に提唱した。これをジブラ法則という。その検証確率紙半対数グラフ)を用いると容易である。横軸方向に対数で測った所得をとり,縦軸方向に累積人員比率をとったとき,直線が得られれば所得分布はジブラ法則を満たす。ジブラ法則は一般に,低所得階層でよくあてはまるものの,高所得階層にいたるとうまくあてはまらない例が多い。なお〈パレート法則〉の項目を併せ読まれたい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジブラ法則」の意味・わかりやすい解説

ジブラ法則
ジブラほうそく
Gibrat's law

所得,富などの分布を計測する法則の一つで,フランスの統計学者 R.ジブラが 1931年に提案した。その内容は所得分布が対数正規分布に従うというもので,次式で表わされる。
y は人員,x所得金額x0 は修正値 (通常は最低所得) で,a をジブラ係数と呼び,a が大きいほど所得分布の不平等度は小さい。同様に所得分布を表わすものにパレート係数があるが,この係数は適合度があまりよくなく,特に高所得層,低所得層に対しては有効でないのに対し,ジブラ係数はこの欠点を正し,かつ経済学的に意味があり,統計学的にも操作の容易な指数である。所得分布だけでなく,一般に対数正規分布をする種々の経済量,たとえば賃金,企業数などの分布の不均等度の測定にも用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のジブラ法則の言及

【所得分布】より

…各所得階層に対するウェイトのつけ方は指標によって異なるので,この場合,不平等の順序は計測に用いられる不平等の指標によって異なりうる。第3の方法は,パレート法則ジブラ法則を想定し,それらの法則を規定する密度関数のなかの一つのパラメーターの値で分布の不平等を比較するものである。なおパレート法則やジブラ法則が成立するとき,ローレンツ曲線は互いに交差しない。…

※「ジブラ法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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