知恵蔵「ジューンブライド」の解説
ジューンブライド
もう一つは、ヨーロッパでは気候が良いからというもの。6月は、長い冬が明けて花が咲き始める時季で、世間一般に開放的で明るいムードが漂う。雨が少なく気候も安定しており、復活祭など各地で祭事が行われることも多いため、相乗効果でより祝福のムードが盛り上がる。
このほか、その昔ヨーロッパでは3~5月には農作業で多忙なため結婚が禁じられており、6月に挙式する人が多かったから広まったという説もある。
日本では1967年~68年に、ホテル業界やブライダル業界が売り上げ向上を狙ってジューンブライドを打ち出したのがきっかけといわれている。日本の6月は梅雨の時期で、雨が多く多湿なことに加え、当時の婚礼を挙げる施設では空調設備などが整っていなかったため、挙式をする人が少なかった。そのため、ブライダル業界が6月にも挙式するカップルが増えるよう、ジューンブライドの言い伝えを広めたとされている。当初は、あまり効果が上がらなかったようだが、近年では空調設備が整い、室内での演出も豊富になってきたことから、ジューンブライドが浸透していった。なお、厚生労働省の統計では、2010年時点で、6月の挙式はそれほど多くないという統計が出ている。
(富岡亜紀子 ライター / 2013年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報