スエビ族(読み)スエビぞく(その他表記)Suevi; Sueves

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スエビ族」の意味・わかりやすい解説

スエビ族
スエビぞく
Suevi; Sueves

ゲルマン民族一派マルコマンニ,ヘルムンドゥリー,セムノネス,ランゴバルド族などが合体してできた部族名。紀元前後頃エルベ川北方に住み,ボヘミア地方征服民族移動期にはマイン川南方に移動し大部分アラマンニ族と合体し,一部イベリア半島に入ってスエビ王国を建てた (409) が,585年西ゴート王国に併合された。他はアラマンニ地方に残ってシュワーベン部族公国を形成した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「スエビ族」の解説

スエビ族
スエビぞく
Suebi

古ゲルマン人の集合部族の名称
紀元前後にエルベ川地方に住み,ベーメン(ボヘミア)地方を制圧。4世紀半ばごろ,マイン川南方に現れてアラマン族と合体し,民族移動の波に乗って5世紀前半イベリア半島の北西部にスエビ王国を建てたが,585年西ゴート王国に併合された。

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世界大百科事典(旧版)内のスエビ族の言及

【ゲルマン人】より

…また南方に向かっては,前113‐前101年にかけ,ユトランド半島から出た前述のキンブリ,テウトニの両族が,ケルト人が住んでいたガリア,イベリア半島の各地を転々と移動し侵寇したことがある。さらにまた前71年には,スエビ族Suebiの長アリオビストAriovist(生没年不詳,ラテン名アリオウィストゥスAriovistus)が一族をひきいてライン川上流を越えガリアに侵入したが,やがてカエサルの軍隊により撃退された。 こうしてローマの盛時といわれるアウグストゥス帝の時代に入ると,ローマはエルベ川とその支流モルダウ川から,ドナウ川を結ぶ線まで,帝国の境界を広げようとしばしば兵を出した結果,ライン,エルベ両川間のゲルマン諸族は,しばらくローマとゆるい従属関係を保ち,その間だけは大きな紛争はなかった。…

【シュワーベン】より

…ゲルマンの一部族としてのシュワーベンは3世紀にライン川とイラー川の中間,ボーデン湖までのローマ領内に侵入して定着し,5世紀に定住地域をエルザス(アルザス),スイス,フォアアールベルク,東はレヒ川まで拡大したアレマン族Alemannen(alle Männer)のことで,これは,ザクセン族,フランク族,チューリンゲン族,バイエルン族,フリーゼン族とともにドイツ民族を構成する6部族の一つである。アレマン族と彼らが定住した地域であるアレマンニアAlemanniaは10世紀ころからシュワーベンと呼ばれるようになるが,この名称は1世紀ころゲルマニアに住んでいたスエビ族Suebiに由来している。シュワーベン(アレマン)族の社会は首長(王や小王)制の多数の支族から成っていたが,5世紀に統一へ向かった。…

※「スエビ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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