スタージョン(Theodore Sturgeon)(読み)すたーじょん(英語表記)Theodore Sturgeon

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スタージョン(Theodore Sturgeon)
すたーじょん
Theodore Sturgeon
(1918―1985)

アメリカのSF作家。ニューヨーク生まれ。正規の学歴はなく、さまざまな職業を転々としたあげく1939年からSF界に登場した。幻想派といわれるように、ハードSFや科学技術的なテーマとは無縁で、SFという枠組みのなかで心理小説風の幻想世界を展開する特異な作家である。国際幻想文学賞を受けた代表的な長編人間以上』(1953)は6人の異様な子供たちが集まってゲシュタルト生命という一個の超存在を形成する物語。『夢見る宝石』(1950)は宇宙からやってきた水晶生物から生まれた水晶人の子供が主人公となり、善と悪、極大(マクロ)と極小(ミクロ)が混合した一種独得の観念性が基調となっている。このように彼は好んで子供や知的障害者、あるいは思春期の男女を主人公にして愛と性と孤独の内面描写をする。ほかに『原子力潜水艦シービュー号』『きみの血を』などの長編、短編集『奇妙な触れあい』『一角獣、多角獣』などがある。

厚木 淳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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