日本大百科全書(ニッポニカ) 「スティクス」の意味・わかりやすい解説
スティクス
すてぃくす
Styx
ギリシア神話の冥府(めいふ)を流れる川の名、またその女神。その渡し守がカロン。オケアノスとテテュスの娘で、ティタン族のパラスと結婚し、ゼロス、ニケ、クラトス、ビアを生む。またゼウスと交わってペルセフォネを、さらにペイラスとの間に怪物エキドナをもうけたともいわれる。ゼウスがティタン族と戦ったとき、子供たちとともに最初にゼウスに加担した功績から、神々は彼女の水にかけて誓言することが決められた。
実際にもこの名を冠する川があり、その水にかけて誓いがなされた。アルカディアのケルモス山に水源をもつスティクス川がそれで、この河水は有毒とされ、アレクサンドロス大王が飲んで中毒死したという伝承もある。
[丹下和彦]