スプラング(読み)すぷらんぐ(英語表記)sprung

翻訳|sprung

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スプラング」の意味・わかりやすい解説

スプラング
すぷらんぐ
sprung

編物一種。編み糸を縦あるいは横の方向に、平行状にいくつもそろえて張り渡しておき、それらの糸を互いに絡ませて組織する編物、あるいはその編物組織をさす。あるいは漁網をつくるような方法で、すでにある編み糸に対し、1本ずつ絡ませながら組織していくこともある。この組織は、ヨーロッパでは、古くから盛んに使われ、肩掛けなどに応用されてきたが、またアメリカ大陸でも、古くからハンモックの組織に広く使われてきたのがよく知られており、一般的には編み袋として汎用(はんよう)されている。比較的伸縮性のある柔軟な組織であるために、多方面の用途をもつものであるが、網目が自由に広がるので、小物を収納するのには適当ではない。なお、わが国では木竹工芸にみられるだけで、衣生活には使われることはなかった。また最近では、材料が金属を使った金網など、フェンスにその組織が使われている。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のスプラングの言及

【裁縫】より

…糸も最初は動物の腱(けん)などを用いていたが,植物繊維にかわる。デンマークの青銅器時代の遺跡からは,スプラングsprangと呼ばれる織物と編物の中間的技法によって作られた帽子が出土しており,縫うという技法は,織物,衣服の形態とも関連した。古代地中海文明の衣服には,縫衣(貫頭衣=チュニックトゥニカ)と無縫衣(巻き衣=ドレーパリー)とが見られるが,留具やひも,帯などで衣服を形づくる無縫衣に対し,縫衣は両脇や袖を縫い合わせて作ったものであった。…

※「スプラング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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