スミス(Edward Elmer Smith)(読み)すみす(英語表記)Edward Elmer Smith

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スミス(Edward Elmer Smith)
すみす
Edward Elmer Smith
(1890―1965)

アメリカのSF作家。文学博士学位をもつので通称ドク・スミスともよばれる。処女作『宇宙のスカイラーク』を1928年に発表して大好評を博し、続編を次々に発表して全四巻のシリーズとなった。この作品の主人公リチャード・シートンによって、それまで銀河系内に限定されていたSFの舞台は、初めて他の島宇宙にまで拡大された。この第一作の発表当時はちょうどアメリカのパルプ・マガジンの全盛期にあたり、大科学者の主人公が同時にアクション・ヒーローの役割を演じるという初期のスペース・オペラ典型を確立して、その後の冒険SFの発展に決定的な影響を与えた。『スカイラーク』の後を受けて時間的にも空間的にも思想的にもその規範を拡大した傑作が次のレンズマン・シリーズで、第一巻『銀河パトロール隊』(1937)から第七巻『渦動破壊者』まで10年がかりで完成したスペース・オペラの記念碑である。この両シリーズの成果によってスミスは現在スペース・オペラの父とよばれている。ほかに独立した作品として、『惑星連合の戦士』(1947)、『大宇宙の探究者』(1965)などがある。

厚木 淳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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