日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソデガイ」の意味・わかりやすい解説
ソデガイ
そでがい / 袖貝
軟体動物門の腹足綱と二枚貝綱に属する、それぞれ一部の貝類の総称。異なった類を同名でよぶので混乱しやすいが、名はいずれも貝殻の形に由来する。
巻き貝のほうはスイショウガイ科の総称で、ソデボラ類ということもある。一般に殻は大きく螺塔(らとう)は円錐(えんすい)形に高まり、殻表は褐色の殻皮をかぶり、黒褐色の斑紋(はんもん)帯がある。殻口の外唇が外方へ袖(そで)のような形に開き、その上縁に指状突起があり、内面も紅色のものが多い。代表的なものはマイノソデガイEuprotomus aurisdianae、ベニソデガイE. bulla、ウラスジマイノソデガイE. vomerなどで、奄美(あまみ)諸島以南、太平洋、インド洋のサンゴ礁帯に多い。
二枚貝のほうは、原鰓類(げんさいるい)のシワロウバイ科のうち、殻が扁平(へんぺい)で前方が丸く、後方が背側に反った形の類をいう。ゲンロクソデガイSaccella confusaは房総以南の浅海の砂底にすみ、フリソデガイCnesterium notabilisやエゾソデガイC. johanniは、房総以北の浅海の砂泥底にすむ。
[奥谷喬司]