日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソフトバンクテレコム」の意味・わかりやすい解説
ソフトバンクテレコム
そふとばんくてれこむ
Softbank Telecom Corp.
2006年(平成18)から2015年まで存在した日本の国内・国際電話を中心とする電気通信会社。2004年にソフトバンクを中心とする企業グループが、前身の日本テレコムを買収して発足し、2006年にソフトバンクテレコムに社名変更した。ブランド名は「SoftBank」。おもな業務は国内電話サービス、国際電話サービス、インターネット接続サービスの提供など。ソフトバンクモバイル(2015年にソフトバンクに社名変更)、ヤフーなどと並ぶソフトバンクグループの中核企業の一つであったが、2015年4月にソフトバンクモバイルに吸収されて、解散した。
[矢野 武 2017年8月21日]
成立に至る経緯
1984年(昭和59)に旧国鉄の通信部門を母体として設立された日本テレコムが前身。1986年に電信電話事業の民間開放によって新規参入した事業者のトップを切って、東京―大阪間の企業向け専用サービスを開始し、1987年に市外電話サービス、1988年に市外公衆電話サービスを始めた。1989年(平成1)に旧国鉄内部の基幹通信網を受け継いだ鉄道通信株式会社を合併し、日本電信電話に次ぐ電気通信大手となった。JRは列車運行情報をやりとりする送電線や光ファイバーを全国に敷設しており、ソフトバンクテレコムもこの回線を継承した。事業を拡大するため、携帯電話事業では東京、関西、東海のデジタルホン(後のJ-フォン)グループ、PHS事業では全国のアステルグループに出資したほか、首都圏のCATV局十数社にも出資していた。1997年(平成9)には、国際電話第3位の日本国際通信(ITJ)と合併、国内と国際の通信サービスを一貫して行う日本で最初の通信会社となり、同年インターネット接続サービス「ODN」を開始した。2001年にイギリスの大手通信会社ボーダフォングループの傘下に入る。さらに2004年ソフトバンクを中心とする企業グループの傘下に入り、2006年に社名をソフトバンクテレコムに変更した。2015年4月に、ソフトバンクを中心とする企業グループの通信事業4社の再編に伴い、ADSL(非対称デジタル加入者回線)などの固定通信事業を担ったソフトバンクBBや移動体通信・PHSサービスのワイモバイルとともに、ソフトバンクモバイルに吸収合併された。
[矢野 武 2017年8月21日]