タクマ式ボイラー(読み)たくましきぼいらー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タクマ式ボイラー」の意味・わかりやすい解説

タクマ式ボイラー
たくましきぼいらー

田熊常吉(たくまつねきち)が1913年(大正2)に発明したボイラー。ボイラー胴が上下2個あって、その間を多数の水管で連結したもの。水管のうち中央の一列はやや太い管が用いられており、その中に降水管という細い管が通っている。その上部には水受けがついていて、下部は下部ボイラー胴の内部にまでいっている。水管群が外側から加熱され、水管内に発生した蒸気は水管内の水とともに水管を上昇し、上部ボイラー胴内で蒸気を分離する。上部ボイラー胴内の水受けに給水された水は、上昇してきたボイラー水とともに、降水管を通って下部ボイラー胴内に降下する。水管を炉の周囲の壁に設け、放射熱で蒸気をつくる放射型ボイラーは、高温高圧(約550℃、1平方センチメートル当り150キログラム)用ボイラーとして使用されている。なお、このボイラーの小型のものを「つねきちボイラー」という。

[中山秀太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のタクマ式ボイラーの言及

【田熊常吉】より

…タクマ式ボイラーの発明者。鳥取県の生れ。…

【ボイラー】より

…蒸気ボイラーともいう。一般に,液体を加熱して蒸気を発生させる装置をいう。水銀と水の2流体蒸気サイクルに用いられる水銀ボイラー,あるいは纎維工業や化学工業で用いられるダウサーム(ダウ・ケミカル社が開発した有機物伝熱媒体)を蒸発させるボイラーなどの特殊流体ボイラーも含まれるが,通常,ボイラーといえば,水を沸騰させて水蒸気を利用に供するものを指し,汽缶とも称される。その最大の用途は,火力発電所で発電機を駆動している蒸気タービンへの蒸気の供給である。…

※「タクマ式ボイラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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