タチゴケ

改訂新版 世界大百科事典 「タチゴケ」の意味・わかりやすい解説

タチゴケ

蘚類のスギゴケ科タチゴケ属Atrichum総称。世界に約40種,うち日本に4種ある。スギゴケ属と異なり葉の表面の薄板は中央脈の部分に限られ,葉の大部分は1層の細胞からなり乾くと著しく巻縮する。蒴(さく)は曲がった円筒状で先端はくちばし状に長く突出し,この特徴に基づき,英名crane's-bill mossという。蒴帽は無毛。ナミガタタチゴケA.undulatum(Hedw.)P.Beauv.は北半球に広く分布。全国の低地から高地まで普通に産し,やや陰湿な土上に群生する。茎は高さ2~3cm,葉は披針形で長さ5~6mm,葉面に横じわがあり,葉縁は細長い細胞によって縁どられ対になった鋸歯がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タチゴケ」の意味・わかりやすい解説

タチゴケ
たちごけ
[学] Atrichum undulatum (Hedw.) Beauv.

コケ植物スギゴケ科の1種。半日陰地の湿土上に群生し、高さ2センチメートル内外で、濃い緑色を呈する。葉は細長い披針(ひしん)形で、長さ8ミリメートル前後、波状の横じわが多数ある。中肋(ちゅうろく)部以外は一層の細胞からできていて薄い。雌雄異株。蒴(さく)は円筒形で、長さ2~3センチメートルの柄(え)をもつ。蓋(ふた)(蘚蓋(せんがい))は細長い突起をもち、帽(ぼう)(蘚帽)は薄い膜質。北海道から九州にかけてみられ、苔庭(こけにわ)に植えられることが多い。

[井上 浩]

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