チオペンタール

百科事典マイペディア 「チオペンタール」の意味・わかりやすい解説

チオペンタール

超短時間作用性バルビツール系麻酔薬。通常量の静脈注射でただちに深麻酔状態に入り,約20分間持続する。急速導入用として広く使われるが,呼吸循環系に抑制作用があるので,使用に際しては人工呼吸設備が必要。1995年に明らかになったオウム真理教事件では,教団内で自白剤として密かに使用されたことが報道され,一般に知られるようになった。

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世界大百科事典 第2版 「チオペンタール」の意味・わかりやすい解説

チオペンタール【thiopental】

バルビツール酸系の超短時間型催眠薬。1935年ボルウィラーE.H.VolwillerとジャバーンD.L.Jabernによってその合成が報告された。近代麻酔術の発展に貢献した最も重要な麻酔薬の一つといわれている。脳への分布が速く,また,そこから脂肪組織への再分布も速いため,他のバルビツール酸系催眠薬に比し極端に作用時間が短い静脈内注射により全身麻酔を起こす。通常量では発揚期がほとんどなく,直ちに深麻酔に入り,約20分持続する。

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世界大百科事典内のチオペンタールの言及

【麻酔】より

…ほかの揮発性麻酔薬の長所をすべてもっているが,麻酔後に肝臓障害が起こることがある。
[静脈麻酔薬]
 (1)チオバルビツレートthiobarbiturate マロン酸とチオ尿素が結合した一群の化合物をいうが,静脈麻酔薬としては,1935年にアメリカで開発されたチオペンタールと,58年に開発されたサイアミラルthiamylalが世界的に普及している。チオペンタールの麻酔作用時間はきわめて短時間である。…

※「チオペンタール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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