一定量の水に砂糖を入れてかき回すと砂糖溶液ができるが、砂糖をしだいに増していくと、ある一定量以上の砂糖はもはや溶けずに残るようになる。このとき溶液は飽和に達したといわれる。鉄やニッケルのような磁性体に磁場(磁界)をかけると磁化し、磁場の強さを増すと磁化の強さも増すが、磁場があまり強くなると磁化はもう増さなくなる。このとき磁化は飽和に達したという。このように、一定条件(たとえば温度一定)のもとで、ある量Aを増加させるのに伴って他の量Bが増加する場合に、Aを増してもBがそれ以上増さなくなったとき飽和の状態になったといい、一つの平衡状態とみなされる。
AとともにBも増加している状態は不飽和unsaturationであるという。湿度が100%の空気は水蒸気で飽和した状態であり、これと水とが接している境界面では、水から空気中へ飛び出していく(蒸発)分子の数と、逆に空気中から水に飛び込んでくる分子の数とがつり合っていると考えられる。不飽和蒸気の場合には、飛び出すほうが多いので全体として蒸発が進行する。砂糖が水に溶けるのも同様である。磁性体の場合は、鉄やニッケルの原子が小さな磁石であり、それの方向が乱雑であると全体として磁化がゼロであるが、ある程度そろうと磁化が現れる。しかし完全にそろってしまうと飽和磁化になり、それ以上に強い磁化は生じえない。
すこし変わった例は炭素の化合結合の飽和である。炭素原子は「結合手」を4本もっているようにふるまう。その4本を全部使って他の原子と結合しているCH4などを飽和化合物といい、そうでなくエチレンやアセチレンのように二重結合や三重結合をもつときには、不飽和化合物という。
[小出昭一郎]
【Ⅰ】一定条件(温度,外圧など)において,ある媒体(真空を含む)が他物質を十分に収容し,それ以上受け入れることのできなくなった限界の状態.飽和蒸気圧,飽和溶液など.飽和以上に他物質を含む場合(過飽和)もあるが,この状態は熱力学的に真の平衡状態ではなく,一種の準安定状態である.【Ⅱ】有機化合物の分子中の炭素-炭素結合に二重結合,三重結合を含まないこと.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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