日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
テーラー(Joseph H. Taylor Jr.)
てーらー
Joseph H. Taylor Jr.
(1941― )
アメリカの天文学者。フィラデルフィア生まれ。ハバーフォード大学を1963年に卒業。ハーバード大学での大学院時代には、宇宙からの電波を観測して天体現象を解明する「電波天文学」の研究を開始し、1968年に博士号を取得した。翌年からマサチューセッツ大学で教職を得て、後にプリンストン大学に移籍した。
マサチューセッツ大時代の1974年、周期的に電波をだすパルサーという星の仲間のなかに、中性子星とペアになって互いの周りを回りあう「連星パルサー」という種類があることを、指導していた大学院生のR・ハルスとともに初めて確認。この連星パルサーが回転する周期を詳細に観測し、アインシュタインの一般相対性理論で予言された「重力波」の存在も明らかにした。「重力波」は2015年に観測されたが、それ以前に、パルサーが回転して重力波を放出しながらエネルギーを失い、回転周期が短くなっていくことをとらえて、重力波の存在を間接的に証明した。連星パルサーの発見と、重力研究に新しい領域を開拓したことが評価され、1993年にノーベル物理学賞をハルスと共同受賞した。
[馬場錬成]
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