日本大百科全書(ニッポニカ) 「マサチューセッツ大学」の意味・わかりやすい解説
マサチューセッツ大学
まさちゅーせっつだいがく
University of Massachusetts
アメリカ合衆国マサチューセッツ州内にある五つの分校から構成された州立大学。各キャンパスにはそれぞれ学長がおかれ、それら全体を統括する単一の理事会と総長が存在する。正式には、「マサチューセッツ大学システムThe University of Massachusetts System」とよぶ。現在、総計約6万人の学生を擁し、大学の活動は研究、教育、地域貢献等の各方面に及んでいる。
1862年、各地域の農学および工学教育振興を目的とした国有地交付大学法(モリル法)が制定され、州政府は連邦政府が払い下げた国有地の売却益をもとに、農学教育や工学教育を行う大学を設置することになった。翌年、同法を受けて、マサチューセッツ州においても、マサチューセッツ農科大学the Massachusetts Agricultural CollegeをアマーストAmherstに設置し、1932年にマサチューセツ州立大学the Massachusetts State College、1947年にマサチューセッツ大学University of Massachusettsと改称する。これがマサチューセッツ大学システムの最初の分校アマースト校にあたる。1962年にはウスター校Worcester、64年にはボストン校Bostonが設置され、1991年法によって、ローウェル大学を前身とするローウェル校Lowellとサザン・イースタン・マサチューセッツ大学を前身とするダートマス校Dartmouthが統合された。
アマースト校は、2007年現在、学生数2万5593名、教員数1169名。10学部を通じて、学士課程では90余り、大学院では120余りのプログラムを提供するもっとも大規模なキャンパスである。2003年には州議会によって、マサチューセッツ大学システムのなかでも最重要の旗艦大学flagship universityとして正式に認定された。とくに、コンピュータ科学、経営学、ナノテクノロジー、高分子科学などの分野では全米でも評価が高い。近隣のアマースト大学Amherst College、スミス大学Smith College、マウント・ホリオーク大学Mount Holyoke College、ハンプシャー大学Hampshire Collegeとともに「5大学コンソーシアムthe Five College Consortium」を形成し、単位互換や施設の相互利用も行っている。演劇、音楽、舞踊の公演など、芸術活動が盛んなことでも知られる。
ボストン校は学生数1万3300名、教員数818名で2番目に規模が大きい。7学部(うち2つは大学院レベルのみ)において、学士課程では約100、大学院では約60のプログラムをもち、30を数える学内の研究機関を拠点として、公共政策、メディアなど大学を超えた幅広い研究教育活動を行い、都市型大学のモデルとみなされている。
ダートマス校は6学部、学生数8500名、ローウェル校は5学部、学生数1万1208名。同様に、多数の教育プログラムを提供するとともに継続教育や職業教育も重視している。他方、ウスター校は3学部から構成される医学系大学院のみであり、ヘルス・ケア・センターと提携し、地域医療に貢献している。
[杉谷祐美子]