日本大百科全書(ニッポニカ) 「デー・ルイス」の意味・わかりやすい解説
デー・ルイス
でーるいす
Cecil Day Lewis
(1904―1972)
イギリスの詩人。アイルランド生まれ。オックスフォード大学卒業。1951~55年には母校の詩学教授、68年より桂冠(けいかん)詩人。30年代にはオーデン、スペンダー、マクニースらと社会派的な新詩運動をおこし、マルキシズムに接近したが、本質的には自己の内面の葛藤(かっとう)を普遍的な人間の問題として誠実に追究したロマンチックな叙情詩人であった。詩集には『羽根から鉄へ』(1931)以下『舞踊の時』(1935)、『言葉は万物の上に』(1943)、『イタリア訪問』(1953)、『ペガサス』(1957)を経て『囁(ささや)く根』(1970)まで多数ある。また自伝『埋もれた時代』(1960)、詩論『詩への希望』(1934)、『叙情的衝迫』(1965)や、古典の素養を生かしたウェルギリウスの『田園詩』『農事詩』の翻訳、少年小説の傑作『オタバリの少年探偵たち』、さらにニコラス・ブレークNicholas Blakeの筆名による『野獣死すべし』(1938)ほかの推理小説が20冊ほどある。
[土岐恒二]
『中桐雅夫訳『世界名詩集大成10 羽根から鉄へ』(1959・平凡社)』▽『永井淳訳『野獣死すべし』(ハヤカワ・ミステリ文庫)』