改訂新版 世界大百科事典 「トゥーレ協会」の意味・わかりやすい解説
トゥーレ協会 (トゥーレきょうかい)
Thule Gesellschaft
1918年にミュンヘンで設立されたオカルト研究団体。創設者はゼボッテンドルフ男爵Rudolf von Sebottendorf(本名グラウアーRudolf Grauer,1875-1945)。ギリシア・ローマ時代に知られた伝説上の極北の島ウルティマ・トゥーレをその象徴とした。協会は数十名の小組織であり,アーリア民族の優越性を魔術的に立証する研究を進めたが,会員に反ユダヤ主義を鮮明にしたエッカートDietrich Eckart(1868-1923),ヒトラーらが加わったことから政治への影響力を持つに至った時期もあり,初期ナチズムの思想的背景の一部を形成したといわれる。40年以降はいったん消滅したものの,80年代に入ってドイツのネオ・ナチズム勃興に伴いミュンヘンで再組織され,1920年代とほぼ同様の活動を開始している。
執筆者:荒俣 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報