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ネネツ族 ネネツぞくNenets

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ネネツ族
ネネツぞく
Nenets

西はウラル山脈のコラ半島から東はタイムイル半島にかけてのツンドラ,森林地帯に居住する少数民族。ネネツは自称で,かつては「ユラク・サモイェード」と呼ばれた。人口約3万 5000。言語はウラル語族のサモディ語派に属し,ツンドラ方言と森林方言に大別される。伝統的生業はトナカイ牧畜を主とし,漁労,狩猟採集も行う。近年まではコルホーズソフホーズに組織されてきた。特にウラル山脈の西部ペチョラ川流域の住民は,17世紀からロシアの支配下に入り,経済的・社会的に著しい影響を受けた。一部にギリシア正教が受容されたが,他方では伝統的な信仰や儀礼,シャーマニズムも長く温存されてきた。また,豊かな口頭伝承には,祖先が南方から到来したことを示唆する要素が認められる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ネネツぞく【ネネツ族 Nenets】

北ロシアと西シベリアの北辺に広がるツンドラ帯(白海に注ぐ北ドビナ河口からエニセイ河口まで)とエニセイ川中流域以北の森林(タイガ)帯に住むサモエード系の民族。ツンドラで遊牧型トナカイ飼育に従事するツンドラ・ネネツ族とタイガの狩猟・漁労民である森林ネネツ族に大別される。人口3万5000(1989),うち森林ネネツ族は約2000。ネネツ族はサモエード諸族中で最大の集団(人口比は8割以上)で,かつては単にサモエードとも,またユラク,ユラク・サモエードとも呼ばれたが,1917年の十月革命後は〈人間〉を意味する自称〈ニェネチ〉に基づきネネツと改称された。

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世界大百科事典内のネネツ族の言及

【サモエード諸語】より

…サモエード語派は北方語群と南方語群に分かれる。 ロシアにおける現在の公称と括弧内に従来用いられた旧称をあげれば,北方語群には(1)ネネツNenets語(ユラク・サモエードYurak‐Samoyed語),(2)エネツEnets語(エニセイ・サモエードYenisei‐Samoyed語),(3)ガナサンNganasan語(タウギ・サモエードTavgi‐Samoyed語)がある。ネネツ語は北東ヨーロッパから西シベリアの北極海沿い,北ドビナ川からエニセイ河口にわたる広い地域で約2万9000人によって話されている(ネネツ族)。…

【ウラル語系諸族】より

…南群のうちサヤン地方に残留した部分はその後チュルク化されて消滅し,セリクープ族のみが現存である。北群は北上を続け,先住民を同化して現存のネネツ族(ユラク・サモエード),エネツ族(エニセイ・サモエード),ガナサン族(タウギ・サモエード)の各族となる。原フィン・ウゴル文化は青銅器時代になると原フィン文化と原ウゴル文化に分裂する。…

【サモエード諸族】より

…人口3万4000(1979)。言語・文化的に北方群(ネネツ族,エネツ族Enets,ガナサン族)と南方群(セリクープ族)に分かれる。南方群には,話者を失って消滅したカマス,カラガス,コイバル,モトル,ソヨート,タイギ(これらすべてを総称してサヤン・サモエードという)も加えることができる。…

【住居】より


[タイガ地帯のトナカイ飼養民の住居]
 タイガ地帯には,少数のトナカイを飼い,それを移動運搬手段としながら狩猟漁労に携わる原住民がいた。東シベリアのエベンキ,エベン(ラムート)族,北のドルガン族Dolgany,南のトファラル族Tofalary,西では一部のネネツ族,ケート,セリクープ族である。この場合にも,移動生活が営まれ,文化的にはシベリアの森林ステップ,タイガ地帯の狩猟漁労民と共通し,住居もチュムであった。…

※「ネネツ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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