ハーシェイ(読み)はーしぇい(その他表記)Alfred Day Hershey

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハーシェイ」の意味・わかりやすい解説

ハーシェイ
はーしぇい
Alfred Day Hershey
(1908―1997)

アメリカの微生物学者・分子生物学者。1934年ミシガン州立大学で学位を得、ワシントン大学に勤める。1962年より1974年までカーネギー研究所所長。1943年ファージ・グループに加わり、M・デルブリュック、S・E・ルリアとともにファージ遺伝学の中心となる。1946年には、通常のファージとは異なる溶菌斑(はん)をもつ突然変異体を発見し、同一細胞内に存在するファージ間で遺伝子組換えが起こることを示した。また1952年チェイスとともに、ファージの遺伝子がDNAデオキシリボ核酸)であることを示す実験を行った。彼らは、ファージのDNAを放射性リンで、タンパク質を放射性硫黄(いおう)で標識し大腸菌に感染させたところ、DNAは菌内でのみみいだされ、タンパク質は外被の部分に残されていることを示した。これは遺伝子が当時考えられていたようにタンパク質ではなく、DNAであることを示唆する重要な証拠となった。また1953年には代謝回転の速いRNA(リボ核酸)を発見している。デルブリュック、ルリアとともに分子生物学の分野の基礎的な貢献に対して1969年ノーベル医学生理学賞を受けた。

[石館三枝子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ハーシェイ」の解説

ハーシェイ
ハーシェイ
Hershey, Alfred Day

アメリカの生物学者.1934年ミシガン州立大学でPh.D.を取得.その後,ワシントン大学医学部細菌学科で研究を開始した.1950年カーネギー研究所の遺伝学部門へ移り,1962~1974年まで同部門の部長を務めた.1940年代から,Max Delbrück,Salvador E.Luriaとファージ研究についての情報交換をはじめた.その後,ファージに突然変異が起こることを示し,ファージの遺伝的組換えを発見した.1952年M. Chaseと行った実験により,タンパク質よりもむしろDNAが遺伝物質であることを立証した.こうした功績により,1969年DelbrückおよびLuriaとともにノーベル生理学医学賞受賞.また,1965年にはアメリカ科学アカデミーのKimber Genetics賞を受賞した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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