ハーシェル(Caroline Lucretia Herschel(1750―1848))(読み)はーしぇる(英語表記)Caroline Lucretia Herschel

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハーシェル(Caroline Lucretia Herschel(1750―1848))
はーしぇる
Caroline Lucretia Herschel
(1750―1848)

ドイツの天文学者声楽家ハノーバーに生まれる。天文学者ウィリアム・ハーシェルの妹で、声楽を学び、1772年、先に渡英していた兄ウィリアムのもとに移り、以後、兄とともにイギリスで活躍した。声楽家として成功したが、兄が天文学に傾倒するにつれ、熱心に兄の補助を務めた。1787年、ジョージ3世から兄ウィリアムの助手として50ポンドの年俸を受けたが、これはイギリスにおいて女性が科学的な仕事で報酬を得た初めての例といわれる。1822年の兄の死後はハノーバーに戻り、97歳で亡くなった。1828年にはイギリス王立天文学会の金メダルを受賞している。

 兄の助手だけでなく、1782年から彗星(すいせい)の探索にもかかわり、星雲状天体を三つ発見、さらに1786年に女性として初めて彗星を発見、以後1797年までに八つの彗星を見つけている。1799年には、1712年に刊行されたフラムスティードの『大英星表』の改訂を行った。

[編集部 2023年6月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例