日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーチャル特区」の意味・わかりやすい解説
バーチャル特区
ばーちゃるとっく
地域限定で規制緩和を進める国家戦略特区の一つで、革新的事業連携型特区の別名。農業、雇用、医療、教育などの規制緩和対象分野のうち、ある特定分野の規制緩和に取り組む全国の複数の市町村をまとめて一つの特区として指定するものである。地図上は物理的につながっていないものの、特定分野の規制緩和に足並みをそろえて取り組むという仮想地域であるため、バーチャル特区とよばれる。なお、国家戦略特区は2種類あり、もう一つは都道府県などを対象とする広域特区である。
安倍晋三(あべしんぞう)政権は成長戦略の一環として国家戦略特区を指定し、経済活性化のための規制緩和に取り組んでいるが、農業、雇用、医療、教育などの分野は規制緩和が進まない「岩盤規制分野」とよばれている。こうした分野に風穴を開けるドリル役として、地理的な連担性にとらわれないバーチャル特区の指定が検討されていた。しかし2014年(平成26)3月、政府は東京圏、関西圏、沖縄県など6か所を広域特区として指定し、バーチャル特区の指定は見送られた。この理由について、国家戦略特区を所管する総務大臣は「バーチャル特区では指定自治体が際限なく広がるとの心配する声があるため」と説明している。
[編集部]