日本大百科全書(ニッポニカ) 「広域特区」の意味・わかりやすい解説
広域特区
こういきとっく
地域限定で規制緩和を進める国家戦略特区のうち、都道府県や市町村など一定の広がりのある地域を指定するもの。安倍晋三(あべしんぞう)政権は成長戦略の一環として、2014年(平成26)、東京圏(東京都千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区、神奈川県、千葉県成田市)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)、新潟市、兵庫県養父(やぶ)市、福岡市、沖縄県の6地域を国家戦略特区(広域特区)に指定した。なお、広域特区は、国家戦略特区ワーキンググループが国家戦略特区の種類を二つに分けたうちの一つであり、もう一つは全国の複数の市町村で一斉に特定分野の規制緩和を進めるバーチャル(革新的事業連携型)特区である。
特区となった地域は、国、地方自治体、民間企業などで構成する「区域会議」を設置して事業計画をまとめ、規制緩和への取組みをスタートさせる。東京圏では、世界一ビジネスがしやすい環境を創設するため、都心部の駅周辺などで容積率を緩和して高層ビルの集積などに取り組む。また、成田市では、国際医療拠点を設けるための医学部の新設を目ざす。関西圏ではiPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用した再生医療を核にした高度医療の拠点づくりを進める。沖縄県では、外国人観光客の入国を容易にするとともに、観光業の規制緩和に取り組む。新潟市と養父市は農業の規制緩和をてこに、福岡市は雇用の規制緩和を中心に、それぞれ国際競争力の強化、新産業の育成、外国企業の誘致などを目ざす。なお、北海道や中部圏なども事業を提案していたが指定は見送られており、安倍政権はこれらの地域を含めた追加指定を検討している。
[編集部]