経済の持続的な成長につなげる施策や目標をまとめた政府の戦略。予算措置や税制に加え、法律や規制の見直しが重視される。安倍政権は、金融緩和や機動的な財政出動に続くアベノミクス「第3の矢」として2013年に発表して以降、毎年夏に改定している。今回は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、経済対策などに関しても議論した。
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企業・団体・国家などが持続的成長を達成するために打ちだす方針・計画。研究開発、規制緩和、教育投資、競争政策、異業種との提携などでイノベーション(技術革新)を起こし、将来にわたって成長が期待できる事業・分野に資金や人材などの経営資源を投じ、貿易自由化や未開発市場の開拓で需要を生み、国際競争力を強化することを意味する。もともと経営学の用語で、企業の成長戦略を検討する場合、「製品」「市場」という二つの軸を「新規」か「既存」かに分けて分析するアメリカの経営学者イゴール・アンゾフHarry Igor Ansoff(1918―2002)の「製品・市場マトリックス」(成長ベクトル)が使われることが多い。
オイル・ショック以降、先進国の成長率が鈍化するなか、民間主導の成長を促す国家レベルの政策としても成長戦略が使わるようになった。短期的な景気刺激効果の大きい中央銀行の金融政策や公共投資などの財政出動は、成長戦略から除かれることが多い。アメリカ大統領レーガンが推進した減税と規制緩和を柱とする「レーガノミクス」や、イギリス首相サッチャーが始めた民営化と規制緩和を柱とする「サッチャリズム」などが該当する。日本でも、小泉純一郎政権以降、財政出動に頼らない政策の意味として使われるようになり、第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権が2012年(平成24)末以降進めた経済政策アベノミクスの三つの柱(いわゆる「3本の矢」)の一つとして成長戦略をあげた。
[矢野 武 2021年1月21日]
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