成長戦略(読み)せいちょうせんりゃく

日本大百科全書(ニッポニカ)「成長戦略」の解説

成長戦略
せいちょうせんりゃく

企業・団体・国家などが持続的成長を達成するために打ちだす方針・計画。研究開発、規制緩和、教育投資、競争政策、異業種との提携などでイノベーション(技術革新)を起こし、将来にわたって成長が期待できる事業・分野に資金や人材などの経営資源を投じ、貿易自由化や未開発市場の開拓で需要を生み、国際競争力を強化することを意味する。もともと経営学の用語で、企業の成長戦略を検討する場合、「製品」「市場」という二つの軸を「新規」か「既存」かに分けて分析するアメリカの経営学者イゴール・アンゾフHarry Igor Ansoff(1918―2002)の「製品・市場マトリックス」(成長ベクトル)が使われることが多い。

 オイル・ショック以降、先進国の成長率が鈍化するなか、民間主導の成長を促す国家レベルの政策としても成長戦略が使わるようになった。短期的な景気刺激効果の大きい中央銀行の金融政策や公共投資などの財政出動は、成長戦略から除かれることが多い。アメリカ大統領レーガンが推進した減税と規制緩和を柱とする「レーガノミクス」や、イギリス首相サッチャーが始めた民営化と規制緩和を柱とする「サッチャリズム」などが該当する。日本でも、小泉純一郎政権以降、財政出動に頼らない政策の意味として使われるようになり、第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権が2012年(平成24)末以降進めた経済政策アベノミクスの三つの柱(いわゆる「3本の矢」)の一つとして成長戦略をあげた。

[矢野 武 2021年1月21日]

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ASCII.jpデジタル用語辞典「成長戦略」の解説

成長戦略

将来にわたって成長が見込め、利益をもたらすと想定される分野へ積極的、計画的に対応する方針。新技術の開発や未開発市場の開拓、他業種との提携などによって、それを実現しようとする。企業は事業分野の特色に応じて競争戦略と成長戦略の両方を並行して実行し、企業の成長を促進するように活動する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「成長戦略」の解説

成長戦略
せいちょうせんりゃく
growth strategy

企業成長の基本的な方向についての戦略。 (1) 既存技術を用いて既存市場を耕する市場深耕戦略,(2) 既存技術を利用して新しい市場を開発する市場開発戦略,(3) 新しい技術を用いて既存市場を開拓する技術開発戦略,(4) 新市場を新技術で開発する多角化戦略,などが代表的である。企業成長の戦略は,事業構造の戦略に含まれる。

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デジタル大辞泉「成長戦略」の解説

せいちょう‐せんりゃく〔セイチヤウ‐〕【成長戦略】

組織が一定の成長を達成するために立案・実施する方針・方策。特に、持続可能な経済成長を実現するために政府が掲げる一連の施策をいう。革新的技術開発の推進、新産業の育成、需要・雇用の創出、国際競争力の強化などを掲げるもので、経済の停滞が長期化する中、小泉純一郎内閣以降、歴代の政権が発表してきた。→新成長戦略

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