日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
バートン(Derek Harold Richard Barton)
ばーとん
Derek Harold Richard Barton
(1918―1998)
イギリスの有機化学者。グラスゴー大学を経て、母校インペリアル・カレッジの有機化学主任教授となる。今日の、脂環式化合物の立体配座解析の基礎をつくった業績で知られる。O・ハッセルが、シクロヘキサンおよびその誘導体に対する気体電子線回折法による研究で明らかにした、シクロヘキサンの椅子(いす)型構造、側鎖の配位についての軸(アキシアル)結合・赤道(エカトリアル)結合などの概念を、セスキテルペン、ステロイドなどの場合に導入・適用し、その複雑な反応性の説明を行った。リモニンの構造、アルカロイドの生合成などの研究でも知られる。1969年、ハッセルとともにノーベル化学賞を受賞した。
[荒川 泓]
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