ステロイド(英語表記)steroid

翻訳|steroid

デジタル大辞泉 「ステロイド」の意味・読み・例文・類語

ステロイド(steroid)

ステロールとその類似化合物の総称。炭素六員環が三つと五員環が一つ結合した基本構造をもつ。動植物界に広く分布し、胆汁酸性ホルモン副腎皮質ホルモンなどがあり、特殊な生理作用や薬理作用を示す。

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精選版 日本国語大辞典 「ステロイド」の意味・読み・例文・類語

ステロイド

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] steroid ) ステロイド核(化学式 C17H28)をもつ化合物の総称。一般に、無色の結晶で、水に溶けにくく、有機溶媒に溶ける。動植物体に広く分布し、天然に存在するステロイド誘導体として、性ホルモン・副腎皮質ホルモン・黄体ホルモン・強心配糖体・ステロール・胆汁酸などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ステロイド」の意味・わかりやすい解説

ステロイド
steroid

飽和四環炭化水素からなるステロイド核(シクロペンタノヒドロフェナントレン環,図1)を有する一群の化合物の総称。ほとんどすべての真核細胞にあまねく分布し,種々の機能や特異な生物活性を担っており,ひじょうに多くのものが分離されている。ステロイド核は,イソプレンが6個つながったトリテルペンであるスクアレンが閉環してできるラノステロール(図2)を経てつくられる。この生合成反応はミクロソームにおいて行われる。ステロイドは互いに二重結合の位置と数,置換基の種類,その部位と数,置換基の立体配座(α,β),環相互の立体配座によって区別される。置換基は主としてA環の3位,C環の11位,D環の17位に限られている。

 最も普遍的に存在するものは3位に水酸基をもつアルコールで,これはステロールsterolあるいはステリンSterinと総称される。動物組織に最も大量にあるステロイドはコレステロール(図3)で,遊離または3位の水酸基の長鎖脂肪酸のエステルの形で存在する。脳,神経組織,副腎に最も多く,腎臓,肝臓,皮膚にもかなり含まれている。コレステロールは細胞膜の構成成分として重要であるが,血漿(けつしよう)リンタンパク質としても存在する。コレステロールは動物のさまざまな生理機能をもつステロイドの前駆体となっている。コレステロールは植物にはほとんど存在せず,植物由来のステロールはフィトステロールphytosterolと総称され,ダイズなどに存在するスチグマステロール(図4)や綿実油やダイズ油中に存在するシトステロールがその例である。酵母やキノコ類のステロールはミコステロールmycosterolと呼ばれ,そのうちエルゴステロールergosterol(図5)は太陽光(紫外線)の照射によって,カルシウムの生体輸送と沈着に役割を果たすビタミンD2に転化する重要な分子である。

 生理的に重要なステロイドには以下のものがある。胆汁酸(コール酸とデオキシコール酸,図6)は腸管における脂質の乳化と吸収に(その界面活性剤として)役割を果たしている。女性ホルモンエストロンエストラジオール),男性ホルモンテストステロン),黄体ホルモン(プロゲステロン),副腎皮質ホルモン(コルチコステロンアルドステロンコルチゾン),昆虫の変態ホルモンエクジソン)などは重要なステロイドホルモン類である(図7)。配糖体のアグリコンとしてもさまざまに存在している。
性ホルモン →胆汁酸 →副腎皮質ホルモン →ホルモン
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百科事典マイペディア 「ステロイド」の意味・わかりやすい解説

ステロイド

ステロイド核すなわちシクロペンタノパーヒドロフェナントレン核C17H28をもつ化合物の総称。ステリン胆汁酸性ホルモン副腎皮質ホルモン,一部のサポニン類等きわめて重要な生理作用や特殊な薬理作用をもつものが多い。核に側鎖が結合して炭素原子の数は18以上,動物体内に存在するものは炭素の数によって次のように生理作用が異なる。C18ステロイド(エストロン,エストラジオールなど発情ホルモン系)。C19ステロイド(テストステロンなど男性ホルモン系)。C21ステロイド(プロゲステロン,コーチゾンなど黄体ホルモンおよび副腎皮質ホルモン系)。C24ステロイド(胆汁酸系)。
→関連項目嗅覚障害コレステロールフリクテンリバウンド

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化学辞典 第2版 「ステロイド」の解説

ステロイド
ステロイド
steroid

図のようなシクロペンタノヒドロフェナントレン環をもつか,これと密接な関連化合物の総称.R1 および R2 は,一般にはメチルであるが酸素化されたものもあり,AあるいはB環が芳香環の場合は R2 はない.側鎖 R3 は炭素数0,2,4,5,8,9または10のものがある.下図のような位置番号をつける.環平面の上に出ている置換基を太線で示してβとよび,下に出ているものを点線で示してαとよぶ.天然に存在するステロイド誘導体として,女性ホルモン男性ホルモン,黄体ホルモン,副じん皮質ホルモン,ステロール,強心性配糖体,サポゲニン,ガマ毒,ステロイドアルカロイド胆汁酸エクジソンなどがある.多くは無色の結晶で,水に難溶,有機溶媒に可溶.リーベルマン-ブルヒァルト反応など多くの呈色反応が知られている.ステロイドはすべてアセチルCoAから出発してメバロン酸ファルネソール,およびスクアレンを経て生合成される.

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栄養・生化学辞典 「ステロイド」の解説

ステロイド


 図に示した構造をもつ化合物の総称.性ホルモン,副腎皮質ホルモンなど多くの生理的に重要な化合物がある.

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デジタル大辞泉プラス 「ステロイド」の解説

ステロイド

蓮見正倖による戯曲。初演は北区つかこうへい劇団(2008年)。2009年、第53回岸田国士戯曲賞の候補作品となる。

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世界大百科事典(旧版)内のステロイドの言及

【脂質】より

脂肪
[蠟]
 高級脂肪酸と高級アルコールからなる固形エステル。アルコールは高級アルキルアルコールかまたはステロール(ステロイドアルコール)である。蜜蠟は前者の例でCが26~34のアルコールのパルミチン酸エステルからなる。…

※「ステロイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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