改訂新版 世界大百科事典 「パキポジウム」の意味・わかりやすい解説
パキポジウム
Pachypodium
アフリカとマダガスカルに分布するキョウチクトウ科の常緑または落葉の低木または小高木。しばしば茎の基部が多肉に肥大し,貯水器官となる。茎は地上性で10mくらいになるものから地下性のものまであり,単立または枝を分かち,形は円柱形,紡錘形,球形,岩塊状をなす。葉は普通,幹または枝の先端に束生し,大きく,やや平行の側脈が多数あり,多肉質ではない。通常,葉の両側ないし葉の基部上縁に1対,種によっては3本のとげをもち,多くの種では枝にもとげがある。花は腋生(えきせい)または頂生で1ないし多数,一般に大型で,色は白色,紅紫色,黄色,赤褐色,赤色など,花の形状はキョウチクトウ科の一般的な形に準ずる。果実は二つが対となった長大な蒴果(さくか)。種子は細長く,一端に冠毛を有する。アフリカ南部に7種,マダガスカルに12種知られている。日本にも観賞用としていくつかの種が導入されている。マダガスカルの住民は,樹液を狩りや旅行のときの飲料とする。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報