パビ(英語表記)Auguste Jean Marie Pavie

改訂新版 世界大百科事典 「パビ」の意味・わかりやすい解説

パビ
Auguste Jean Marie Pavie
生没年:1847-1925

フランスの植民地官吏,探検家。1869年フランス領コーチシナへ軍人として赴いた。79年プノンペン~バンコク間の電話線敷設に従事し,同時にインドシナ各地を探検,調査し,民族,言語,文化,自然科学に興味をもった。86年ラオスルアンプラバン副領事に就任し,87年にホー族がルアンプラバンを襲撃した際にはウン・カム王を助けて脱出し,王の信頼を得た。また北部ラオスのミヤオ族やタイ族の地域を踏査し,のちのフランス領ラオスの基礎を固めた。91年バンコク総領事となり,93年フランス・シャム(タイ)条約をまとめた。この条約でシャムはメコン川左岸および川中島をフランスに割譲し,ラオスに対するフランスの保護権を承認した。またパビは中国,ビルマ(現ミャンマー)とフランス領ラオスとの国境線画定にも努めた。外交活動のかたわらパビが行った探検,調査の成果は《Mission Pavie:Indochine 1879-1895》7巻(1898-1919)にまとめられた。これはインドシナ研究の基礎文献として現在も高く評価されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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